『群論への第一歩』「第7章 同値類と剰余類」ノート
同値類と剰余類について学ぶ章
「この章で学ぶこと」に目を通したが、掴み切れなかった(新しい概念が多い)
とりあえずここは前振り段階なので、今は理解できなくてもよしとして先に進む
/equivalence relation
集合X上の二項関係〜がE1、E2、E3をすべて満たすとき、二項関係〜を集合X上の同値関係といいます。
E1 反射律
$ 任意のXの任意xに対して
$ x \sim x
が成り立つ。
E2 対象律
$ 任意のXの任意x,yに対して
$ x \sim y ならば y \sim x
が成り立つ
E3 推移律
$ 任意のXの任意x,y,zに対して
$ x \sim y かつ y \sim zならば x \sim z
が成り立つ
特別な条件を満たす二項関係が、同値関係と呼ばれる
具体例で考える
生徒全体の集合Xとし、
$ x\sim y \Longleftrightarrow生徒xのクラスは、生徒yのクラスと同じである
と定義すると、二項関係〜は、X上の同値関係
E1,E2,E3はたしかに満たされる
曜日が同じ
7で割ったあまりが同じもの
同値関係ではない二項関係
「<」はE1やE2が成り立たないため
二項関係〜が同値関係なら、x=yならば、x~yは成り立つ。
しかし、x~yだからといって、x=yとは限らない
$ x\sim yが、「xとyが同じクラスである」ことを示しているとして、つまりそれは個々の要素が持つ属性が等しいことを示しているわけだが、それはすぐに「同じ属性を持つ集合」へのまなざしにつながっている。
集合X上の同値関係〜が与えられており、aが集合Xの元であるとき、a~xを満たす$ x \in X 全体の集合をaの同値類といい、
$ [a] と表記します。すなわち、
$ [a] ~ \{x \in X | a \sim x\}
です。[a]は$ \bar{a}やC(a)と表記することもある。また、同値類から元を一つ選んだとき、その元をその同地類の代表元といいます。
同値類は集合のこと
どんな集合か
a~xを満たす→クラスのたとえで言えば、aさんと同じクラスの生徒が集まっている集合
生徒全員の集合の部分集合である
その同値類という集合に含まれている元は、どれでも代表元になりうる
{a,b,c,d}なら、$ [a],[b],[c],[d] のどれでもOK
集合X上の同値関係〜による同値類全体の集合を、Xの~による商集合といい、X/〜と表記します。すなわち、
$ X/\sim = \{[x]|x \in X\}
です。
同値類は集合だった。ある一つの「同じ」によって集められた集合。
商集合は、その集合をすべて集めた集合
Xの部分集合が、商集合X/の元になっている
Xのすべての元がそこに含まれている(と言えるだろうか)。
rashita.iconよく考えたが、すべて含まれていると言える。
一つしかないものも、集合を形成できるのだから。
つまりaと「同じ」ものがa以外になくても、{a}を作れる
実際例で考える
一ヶ月分のカレンダーの日付を曜日ごとに集合にわける
1~7まで、全部で7つの集合ができる
その集合を集めた集合が商集合
$ \{[1],[2],[3],[4],[5],[6],[7]\}
と表すこともできるし、代表元は所属する集合から別のものを選んでもいい
rashita.icon「代表」というと「この集合を代表して」という風にシンボリックで特別なものの印象があるが(会社の代表とかのイメージ)、実際は「今度の会議、部署から代表して誰か来てくれないか」的な感じ。別に誰でもいい。
同値類の性質と集合の分割
同値類はかならず元を持ち、空集合にはならない。Xの元は必ず同値類のいずれかに属する(上で検討した)
一つの元が、異なる二つの同値類に属していることはない(ダブりはなし)
集合の分割の定義
集合Xの部分集合P_1,P_2,……,P_nが1,2,3,のすべてを満たすとき、
P = {P_1,P_2,……,P_n}
をXの分割といいます。
rashita.iconPも集合で、P_1やP_2も集合であることは忘れずに
1
P_1,P_2,……,P_nはいずれも空集合ではない
2
P_1,P_2,……,P_nの和集合はXに等しい
3
j ≠ k ならば、P_jとP_kの共通部分は空集合である
ダブリはなし
先ほど確認したことが定義として表現された形
とりあえず、ここまでは理解/把握できたと思う
が、ここまでは集合の話で群ではない
次から群に入る
表記$ g \ast Hの定義
(G,*)を群、HをGの部分群、そしてgをGの元とします。このとき、
$ x = g \ast h
を満たす$ h \in Hが存在するような、$ x \in G全体の集合を$ g \ast Hと表記します。
すなわち、
$ g \ast H = \{g \ast h | h \in H \}
です。
rashita.iconうむ、わからん。
ゆっくり読もう。
まず、$ g \ast Hは集合だ(そう書いてある)。
何の集合か。
$ x \in G全体の集合。xの値はGの元の範囲で動き回るから、その集合ということ。
そのxはどのように定まるか。
$ x = g \ast hを満たすhが存在するような
HはGの部分群で、hはHの元。
$ x = g \ast hを見る
gはGの元、hはHの元だが、HはGの部分群なのだからGの元でもある
よって、$ g \ast hとしてもGの元ではある。
それをすべて集めると、Gの部分集合になる
しかし、Gの部分群になるかはわからない
二項演算の結果がHから「はみ出す」可能性があるから?
直感的な説明
Gの元gを一つ決めておきます。そのgに対してHの元hを「総当たり」で掛けた積g*h全体の集合は、g*Hに等しくなります。
具体例で考える
三次対称群
G={e,h,g_1g_2,g_3,g_4}
H={e,h}
Gが群で、HはGの部分群
$ g \ast Hは集合
Gから一つ元を選び(g)、それにHをかける(*で演算する)
途中は省略して、6つの集合が出てくる。そのうち3つは同じなので合計3つの集合が出てくることになる。
その集合の集合が$ g \ast H?
同値関係でGを割ることで生まれる同値類を剰余類という (G,*)を群とし、HをGの部分群とします。xとyを群Gの元として、G上の二項関係〜を、
$ x〜y ←→x*H = y * H
で定義すると、〜はG上の同値関係になります。このとき、同値関係〜における$ g \in G の同値類$ [g] は、$ g*Hに他なりません。この
$ g * H
を、部分群Hによるgの左剰余類といいます。また、Gを〜で割って得られる商集合をG/Hと表記します。すなわち
$ G/H=G/〜=\{g*H| g \in G\}
です。商集合G/Hは、Hによる左剰余類全体の集合です。
rashita.iconうむ、わからん。
ゆっくり読もう。
〜は、同値関係。
$ x〜y \Longleftrightarrow x*H = y * H
でそれが担保されている(この理解は後回しとする)
この〜でGを割って得られる商集合G/Hは、Gの元を同じ属性(同じという関係性)で集めて作った集合の集合
→ Hによる左剰余類全体の集合
Hによる左剰余類とは、「〜」という関係性によって作られる集合
選ばれたgひとつに対して、集合1つが得られる
群(G,*)の元gとGの部分群Hに対して表記g*Hを定義したのと同様に表記H*gを次にように定義します。
$ H \ast g = \{h \ast g | h \in H \}
また、G上の同値関係〜を、
$ x〜y ←→H*x = H * y
で定義し、Gを〜で割って得られる同値類を部分群Hによるgの右余剰類といい、商集合を、
$ H/G=〜\backslash G
と表記します。
左剰余類と逆
かける方向が逆
余剰類の元の個数は等しい
$ |H| = |g*H|
rashita.iconたしかに三次対称群ではすべての集合が2個ずつ元を持っていた
H{e,h}が二個だったら、g*Hの元の数も2個になるよ、ということか。
個数が等しいことの証明は、全単射であることを示せばいい
ラグランジュの定理
Hが有限群Gの部分群なら、|H|は|G|の約数です
rashita.iconさっきの話なら、Gは6個の元があり、Hは2個だからたしかにそうなっている
$ |H| = |g*H|だから、|H|をn個集めたものがGの元の数になり、逆に言えば約数になっている、ということ
商集合G/Hが持つ元の個数|G/H|はGにおけるHの指数と呼ばれ、(G:H)と表記される。
練習問題の理解はいったん保留
とりあえず読んだだけ